まずは、上の画像をよくご覧下さい。
これらの不具合は、実のところアンティーク時計において極めて平均的に目にするものですが、当然のことながらどんなに綺麗に洗浄しても直りません。つまり、数10年、或いはそれ以上に経年したいわゆるアンティークの腕時計や懐中時計の整備に必要なのは、単なる分解掃除だけではないということです。経年による部品の磨耗、過去における不適切な処置によるダメージ等、は正しく修理しなければ、いかに往年の名機とは言えども本来の性能とはほど遠いものになります。
昔から「アンティークの時計は、1日3分位の誤差は仕方ない。当時からそういう精度だったのだ」という話しをよく耳にしますが ━ ごく一部の極めて簡易的な時計や、バージ式等の本格的な旧式脱進機の時計はともかく ━ 100年やそこらのレバー式の時計において、これは明らかな間違いです。もしこれらの時計に一日に3分もの誤差が出ているとするなら、それは決して「古い時計だから」ではなく、「修理されていない」からなのです。
また一方で、長年整備していなくても「調子良く動いているからまだ整備は不要だ」と考えるのも非常に危険です。
いかに時計に使用される鉱物油が以前より高品質になったとは言え、注油してから数年後に乾燥・劣化が始まるのは避けられません。機械内部で劣化した油が抵抗を増し、部品が充分に潤滑されずに動いているような状態では磨耗が進み、ゆくゆくは大掛かりな部品製作が必要になります。
パスタイムではこの20年、皆様の貴重なアンティークウォッチを末永く快適にお使いいただくため、それぞれの時計を製造当時の姿に極力近い作動状態に復元する、「レストア」を行ってきました。ひとたび高度にレストアされた往年の腕時計や懐中時計は、その後、定期的な分解掃除・調整さえ施してあげれば、私達人間よりも遥かに長生きすることが証明されています。
大切な時計を、きちんとした状態にしたい。今後も代々受け継いでゆける時計にしたい。このようにお考えの方は、是非とも私達にお手伝いさせて下さい。